新・身近な科学

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木は鉄より(ある意味)強い

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識3」(http://www.adventar.org/calendars/999)の一環として書いています。

こんにちは、NSIの清水です。
先日は高層建築物の話をしましたが、今回は強度についてちょっとした話題を提供しようと思います。

さて、皆さんに質問です。木と鉄ではどちらの強度が高いでしょうか?
おそらく鉄のほうが強度が高いと考える人がほとんどでしょう。
しかし、この「強度」を深く考えると、一概に鉄のほうが優れているとは言えないのです。

一口に強度といっても、その観点から様々な種類に分けることができます。
たとえば、材料が引張られたときに耐えられる最も大きな力の強さから算出する「引張強度」という種類があります。
木材であれば900kgf/cm2、鉄であれば4000kgf/cm2程度の値を示します。
やはり、鉄が木材に勝っていますよね。

しかし、ここで「重さ」の概念を取り入れると、話が変わるのです。
木は鉄に比べてとても軽いので、長さと重さが等しい柱を作る場合に、より太い柱を作ることができます。
もし同じ重さの木と鉄を用意した場合、木の引張強度は鉄の4倍になるのです!

つまり「木は鉄より(重さあたりの引張強度では)強い」ということです。

木という材料は、軽いのに丈夫という性質を持っているということですね。
このような重さ(比重)あたりの引張強度のことを「比強度」といいます。

見方を少し変えると、いろいろと面白いものが見えてくることがあります。
皆さんの周りにもあると思うので、探してみてください。