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新・身近な科学

私たちの身近にある科学を解説します。NSI (科学勉強会) のウェブサイトはこちら http://tehiro.sakura.ne.jp/nsi/

「分子マシン」がもたらすもの

明日話したくなる科学豆知識

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識4」(http://www.adventar.org/calendars/1675)の一環として書いています。

はじめに

こんにちは!NSIの岩山です。

1年は早いもので、ついこの間年が明けたと思ったら、もう12月です。

今年もNSIでは、アドベントカレンダーを作成します!
過去3年と同じ「明日話したくなる科学豆知識」というテーマで、4年目の今年完走すると、めでたく100記事となる節目の年となります。
今日から25日間、ゆるりとお付き合いいただけると幸いです(^^)
過去3年の記事についてもぜひご覧くださいませ。

2013年→ 明日話したくなる科学豆知識 Advent Calendar 2013 - Adventar
2014年→ 明日話したくなる科学豆知識2 Advent Calendar 2014 - Adventar
2015年→ 明日話したくなる科学豆知識3 Advent Calendar 2015 - Adventar

今日の豆知識

さてさっそく、初日の豆知識に入りたいと思います。

私、大学では化学を専攻していました。
なので、ノーベル賞の中で一番注目するのは化学賞なのですが、化学賞は幅が広く、物理っぽいものや生物っぽいものが選ばれることも多くあります。

そんな中で、今年のノーベル化学賞は久しぶりにザ・化学といった感じだったので、今日はそれについての豆知識をご紹介します。

今年のノーベル化学賞は、「分子マシンの設計と合成」という業績について、フランスのジャンピエール・ソバージュさん、イギリスのJ・フレーザー・ストッダートさん、オランダのバーナード・フェリンガさんの3人に授与されました。

「分子マシン」とは、機械的な動きをする分子あるいは分子複合体のことで、分子スケールのナノメートルくらいの大きさです。
・・・というのは釈迦に説法でしょうか(^^;)

今回ご紹介したいのは分子マシンそのものについてではなく、今回の授賞にあたってノーベル財団から出されたコメントです。
ちょっと長いですが、以下ご紹介します。僭越ながら、日本語訳もつけてみました。

In terms of development, the molecular motor is at the same stage as the electric motor was in the 1830s, when scientists displayed various spinning cranks and wheels, unaware that they would lead to washing machines, fans and food processors. Molecular machines will most likely be used in the development of things such as new materials, sensors and energy storage systems.

ノーベル賞ウェブサイト 2016年化学賞プレスリリースより抜粋

(拙訳:進歩という観点において、分子モーターは、1830年代の電気モーターとちょうど同じステージにある。そのころ、科学者たちはクランクや車輪を回して見せていたが、それが洗濯機や扇風機、フードプロセッサーへつながることになるとは思っていなかった。今後、分子マシンが新しい材料やセンサー、エネルギー貯蔵システムといったものの発展に寄与していくことは間違いないだろう。)

1830年代というのは、産業革命の最初期のころです。
歴史の教科書でしか見ることができないものだと思っていた産業革命と同じことが、今まさに起こりつつあるなんて、とってもロマンがあることだと思いませんか?
今はまだ小さな分子の世界のできごとですが、やがて、今は想像もできないような大きな変革となって私たちの目の前に現れるような、そんな想像をするだけでワクワクします(^^)

そんなわけで、今日の「明日話したくなる科学豆知識」は、ちょっと願望も込めて、
分子マシンの発展は、産業革命に匹敵するような大きな変革をもたらすだろう
としたいと思います。