新・身近な科学

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奇妙な幻

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識4」(http://www.adventar.org/calendars/1675)の一環として書いています。

こんにちは、NSIの二世です。

早速ですが、みなさんに問題です。
この化石、元は一体どんな生物だったか想像できるでしょうか?
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実はこの生物には「奇妙な幻」を意味するハルキゲニアという名前がついています。

ハルキゲニアの化石は、5億年以上前の地層から発見されました。
そして面白いことに、実はその復元図が「たくさん」存在しているのです。


1977年、初めて発表された復元図では、7本の棘で歩く頭の大きな生物として描かれました。

しかし1992年には、その身体の上下と前後が反転し、頭とされていた部分は身体の一部ではなかったとされました。

さらに1995年、前後がまた反転し、やはり頭部はあったのではないかと言われていました。

そして2015年は、電子顕微鏡による観察で、ついにハルキゲニアの目と口(歯)が発見されました。
これにより、身体の前後が再度(3回目!)反転することになったのです。

最新の復元イメージについてはこちらの動画で見ることができます。

Hallucigenia walking

いかがでしょうか?
最初の化石からみなさんが予想した姿は、どのくらい近いものだったでしょう?

なお復元図は、描く人によって描き方や印象が全然違うので、興味を持った方はぜひ「ハルキゲニア」で画像検索をしてみてください。


ともあれ、何十年にもわたって研究者達に「幻の生物」の図を描かせてしまうハルキゲニアの化石は、とても魅惑的な存在だと思いませんか?


以上、ハルキゲニアという生物は、研究が進む度にその姿が大きく変わってきたという豆知識でした。


明日もお楽しみに!