新・身近な科学

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対数の不思議

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識4」(http://www.adventar.org/calendars/1675)の一環として書いています。

こんにちは!NSIの岩山です。

みなさん「対数」のことはご存知かと思います。高校の数学で習う、「log ○」で表される数のことですよね。
log 2 = 0.3010 、 log 3 = 0.4771 、 log 6 = 0.7781 みたいな値です。

この対数の性質として一番有名なのは、「かけ算を足し算に、わり算を引き算にする」というものでしょうか。
数式で書くと、
log AB = log A + log B
log (A/B) = log A - log B
というものです。

かけ算・わり算が足し算・引き算になるということで、うまく使うととっても便利なのですが、対数はなぜそんな都合の良い性質を持っているのでしょうか?

実は、この問いに対する答えはけっこう単純です。
その答えは、そうなるように人工的に作られた数だからです。

対数は、16世紀にスコットランドの数学者ジョン・ネイピアによって作られました。

当時はいわゆる大航海時代で、また天文学が大きく発展した時代でもありました。
航海中の自船の位置の計算や星の運行の計算など、膨大な桁数のかけ算やわり算をする必要があり、そのための「計算師」という職業もあったほど大きな負担となっていました。
対数によって計算が楽になり負担が軽くなったことから、「対数天文学者の寿命を2倍にした」と言われるほどだったそうです。

というわけで、今日の「明日話したくなる科学豆知識」は、
対数はかけ算・わり算を簡単にするために人工的に作られた
です。