新・身近な科学

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ヘイ!

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識4」(http://www.adventar.org/calendars/1675)の一環として書いています。

こんにちは!NSIの岩山です。

さて、アドベントカレンダーといえば12月の風物詩ですが、時期が決まっているためその内容がどうしても年末に寄ってしまいますよね。
そんな風潮に一石を投じるべく、今日はあえて年始っぽい内容のお話をしたいと思います。

※あらかじめお断りしておきたいのですが、今日の内容はいわゆる「科学」からは若干遠いものとなっています。まぁ「人文科学」的な感じで、広く捉えれば「科学」だということでひとつよろしくお願いします(^^;)
べ、別にネタ切れってわけじゃないんだからね!

さていつからか、2月3日の節分に恵方巻きを食べることがすっかり定着した感がありますね。
スーパーやコンビニなんかで「今年の恵方は○○」と見かけるのも普通になりました。
ところでみなさん、今年の恵方は覚えていますでしょうか?
・・・おそらく、ほとんどの方が首を横に振るのではないかと思います。
もちろん私も、このエントリを書くに当たって改めて調べました(^^;)

今年(2016年)の恵方は南南東です。
・・・と言いたいところなんですが、実はこれ、(厳密に言うと)間違いなんです。

どういうことか説明するためには、そもそも「恵方」とは何かを知らなくてはなりません。
恵方」は、陰陽道で福徳を司るとされる「歳徳神(としとくじん)」がいる方角のことです。
歳徳神は女性の姿で描かれることが多いのですが、彼女が毎年居場所を変えるため、恵方も毎年変わります。

で、陰陽道で用いられる方位は、全周を24分割した「24方位」なんです。
一方、「南南東」といった表記は「16方位」で、24方位よりも粗い分け方です。
そのため、「南南東」表記では24方位を表し切れないということになります。

じゃあなんで恵方をその24方位で言い表さないのかというと、おそらくですが、わかる人がほとんどいないからだと思います。
ちなみに2016年の恵方を正しく言うと「丙(ひのえ、またはヘイ)」ですが、まったくピンと来ませんよね(^^;)

24方位を表すのには、十二支、八卦、それに十干が出てきます。
詳細は割愛して最終結果だけ表したものが下の図です。
参考までに16方位も記載しました。

f:id:nsi_sapporo:20161215231119p:plain

赤・青・黄がそれぞれ十二支・八卦・十干由来であることを表しています。
とても複雑で覚えきれないですよね。
今年の恵方の「丙」と「南南東」は図の下の方にありますが、このくらいのずれなら「南南東」表記に軍配が上がるのもむべなるかな、と思います。

というわけで今日の「明日話したくなる(科学?)豆知識」は、
今年の恵方は丙(ヘイ)!・・・とすると楽しげで良いのですが、やっぱり誰にも伝わらないと思うので、おとなしめに
「今年の恵方は南南東」は(厳密に言うと)間違い
としたいと思います。