新・身近な科学

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カメラ越しに見えるもの

※本記事はアドベントカレンダー「明日話したくなる科学豆知識3」(http://www.adventar.org/calendars/999)の一環として書いています。

こんにちは、科学勉強会/NSIのゾフです。

最近はスマホなどの普及で手軽に色々なものをカメラで撮る方が多いと思います。
ツイッターフェイスブックなどのSNSスマホでとった写真を載せる人も多くいると思います。
その中で,写真に肉眼では見えない何かが写ってしまう,という経験はありますか?
僕はたまにあります。
例えば,下のようなPCの画面を撮った写真です。
ちなみに今回は心霊写真的なお話ではありません。

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何か写真のPC画面に模様が見えると思います。
(PCで見た場合には写真が大きく表示されるのでうまく見えないかもしれません。その場合は,自分のPCの画面を正面からスマホなどで写真をとってみてください。)
これはデジタルカメラで液晶画面を写真にとった時に映ることが多い「モアレ縞」というものです。
モアレ縞は、規則正しい模様を持った「被写体」とカメラ内に組み込まれた、規則正しく並んだ受光素子(光を受け取るとても小さな部品)が干渉して発生します。
液晶画面は光を出す部分が規則正しく並んでいるので,干渉が起こるのです。
特に写真が縮小されている時に写りやすいため,スマホなど小さな画面で写真を見るときにモアレ縞が写ってしまう場合が多くあります。

このモアレ縞は肉眼でも見ることができます。
身近な例としては、工事現場のグリーンの網が二重になっている場合や、家庭のレースのカーテン生地が二重になっているところで、縞模様となって見ることができます。

写真に写るモアレ縞を抑えるには,干渉が起きにくくすれば写りにくくなります。
方法としては,ピントを合わせてから少しカメラを前後させる,下の写真のように被写体(液晶画面)に対してカメラを傾けて撮るなどの方法があります。

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今日のまとめは,以下になります。

  1. デジタルカメラで液晶画面を撮ると,肉眼では見えない「モアレ縞」という縞模様が写ってしまうことがある。
  2. モアレ縞は、規則正しい模様を持った「被写体」とカメラの規則正しく並んだ受光素子が干渉して発生する。
  3. モアレ縞は、ピントを合わせてから少しカメラを前後させる,被写体に対してカメラを傾けて撮るなどすると,写りにくい。

なにか話のネタにでもしていただけたら,ありがたいと思います。